熟して英語

歳を重ねて見えてくる英語。。。日々ちょっと考えさせられる英語の色々を綴っていきます

丁寧は長い―ペロシさんのこと

   I have the high privilege and distinct honor of presenting to you ~


昨日の弾劾裁判の判決が出る直前に行われたトランプさんの一般教書演説。
ニュースの賞味期限が切れないうちに書いてしまわねば。


下院議長のナンシー・ペロシさん(この人、もうすぐ80歳!)とトランプさんが
数か月ぶりにどう対面するかが注目されてましたが、
案の定大統領は差し伸べた彼女の手と握手することを拒否。
そして仕上げにペロシさん、彼の演説のコピーをびりびり。。。


やってしまいましたね、ペロシさん、
これカーっとなると女性はやりたくなります。
ペロシさん、破ったあの紙切れを
背中を向けて一段低い位置にいるトランプの頭の上からね、
パラパラと放り投げた、、、はやらなかったけど、
やりたかったに違いない。。。と思う。


もう一つ彼女が議長として伝統を破ったこと。


議長として大統領の演説を紹介する際に恒例となっている、上記意味するところの
「~~をご紹介することを光栄に存じます」という
"I have the pleasure in~" とか、"It is my honor to~" なんかより数段上の
最上級の賞賛の組み合わせの前置きを省略したこと。


代わりに簡潔に↓で済ませました。
 “Members of Congress, the president of the United States.”


英語も日本語と同じ、丁寧に、そして賞賛の度合いが高いほど言い回しが
長くなります。


たくさんヒラヒラを付けて、仰々しくしますね。


スピーチだけでなく、何かをお願いするときもそう。
「恐れ入いりますが。。。」とか「。。。。幸いに存じます」
とか日本語でも前置とか後ろにひっつけますね。


何かをお願いするなら、最もシンプルには
     Help me.


ですけど、これが


Can you help me?
Could you help me?
Would you mind helping me?
Would you be so kind as to help me?
I would appreciate it if you would help me.
I am wondering if you would be so kind as to help me.


のように、ここにpleaseなども挿入しながら、
組み合わせで際限なく尾ひれをつけて丁寧度をあげる。
そしてどんどん長くなる。


でも日本語同様、ちゃんと時と場合によって使い分ける必要がありますね。
ペロシさんのようにね。


    

Hattori Hanzo ....? 

     Harris is as sharp as a Hattori Hanzo blade.


↑New York Times の記事からです。


民主党大統領選候補者のdebateが行われたときの記事なんですけど、
Kamala Harris(その後候補を降りました)のdebateを評価した文。


彼女の切り返しが「服部半蔵の刀のごとく鋭かった」と言っています。


こういう例えや比喩があると内容がイメージしやすいけど、


うーん、Hattori Hanzo も KonMariさん同様、あちらで有名人?


アメリカ人が読んですぐわかるから出てくるんでしょうねえ。
Ninja大好きアメリカ人だから通じるのかしら。。。



逆に英字新聞で困るのが、アメリカのカルチャー事情とか雑学に精通していないとわからないような固有名詞が次々と出てくること。



NY Timesの記事で、KonMariさんが話すときの様子はこんな感じだと。。。


"framing the air in front of her, 
as if she were the director on "Electric Company" or 
Tom Cruise in "Minority Report."


とのこと。



frame the air。。。
目の前の空間をかたどるようにわちゃわちゃと手を動かすんだろうなあ、
と思ったけど
Electric CompanyMinority Reportも観ていないと全くピンときません。


Electric Companyは1970代に流行った小学生向けのTV教育番組とのこと。
番組に登場するdirectorの動きがそんな感じだったんですね、きっと。


それからMinority Report の youtube では、確かに主演のトム・クルーズが
SFの世界で手をわちゃわちゃ動かしてスクリーンを操作。
これも15年前の映画。


長く生きてないとアメリカの若者だってピンとこないかも?



          

英語になった日本人

    ★KonMari-ing  
     ★MariKondoed
   ★Konverts


「片づけるーKonMari風に」という動詞が
英語の文章のなかに普通に使われるようになりました。


進行形にも過去形にもなりますよ。


それからKonmari風に断捨離(declutter)して生まれ変わったひとたちを
Konverts (改宗者convertとかけている)なんて言っている。


近藤麻理恵さん、Netflixにも番組を持ち、Emmy Awardsにも
ノミネートされてるんですから米国では有名人。


NY TimesのKonmariさんの紹介が面白い。


 tidying guru (片づけの教祖)そして   
 former shinto shrine maiden (元巫女さん)
 ときめき(spark joy→喜びの火花を散らす)がなければ処分する。


元巫女さんなんて入れると
何だかアメリカ人にとっては神秘的に聞こえるんでしょうね。



他に動詞に使われる日本人っていましたかね。。。


最近いましたわ、そういえば。


こんなのありました。


  Meghan yoko ono-ing the royal family


Meghanさんが英国王室衰退に影響与えてるんじゃないか、ってこと。
Yoko Onoがしっかり進行形になってます。


Yoko Onoって誰?っていう人も多くなってきているけれど、
ビートルズ解散に追い込んだと言われているJohn Lennonの日本人の奥様。
ビートルズ世代ではみんな知っていますけどね。



それにしても日本人はすごい!
いい意味でも悪い意味でも。。。
アジア人で動詞になってしまっている人はそう多くはいないのでは?


英語という言語の懐の広さにも感心です。


   

絨毯の下には。。。

    sweep under the rug


最近のニュースにはこのフレーズがよく出てくる。
。。。というかこのフレーズを使用しなくては
いけないようなニュースばかりだから。


都合の悪いものは全部絨毯(rugあるいはcarpetでも)の下に掃いて(sweep)
隠してしまおう。。。
つまり「見てみぬふりをする」をする、ってこと。


面白いのは欧米だからこその表現。


不都合なものをシャシャシャっと一瞬にして隠してしまえるのは
カーペットだからできるんであって、
畳じゃ重すぎます。


トランプ弾劾裁判でも、Brexitでも、それからMegxitにしても、
さささっと結論を急いでしまって、不都合なことは
同じくらいさささっと全てunder the rugです。


昔Goreさんが言っていたinconvenient truth(不都合な真実)
の類は全て隠してしまおう!


後回しにしてちゃんと解決するならいいけれど、
そもそもなかったことにしている。


信ぴょう性のある米国務省職員の証言も、
EU離脱移行に向ける諸問題も
英王室の役割分担も。。。


絨毯の下は山盛り。
でも隠すのが簡単と同じくらい、中身が出てくるのも簡単よ。


そのうち何かがはみ出してこないかな?