熟して英語

歳を重ねて見えてくる英語。。。日々ちょっと考えさせられる英語の色々を綴っていきます

桁を間違えそうになる、、、トランプさんの納税額

トランプさんが2016年と翌年たったの日本円にして7万9000円程度しか税金を納めていなかった、とNY Timesの記事が昨日センセーショナルに報じた。


おかしかったのは番組でCNN のAnderson Cooperが何度か
 "... seven hundred fifty thousand..."( $750,000)
と言っては、おっとっと、と言いよどみ、言い直していたこと。


"I always keep saying seven hundred fifty thousand dollars($750,000), when it's only seven hundred fifty dollars ($750)!" と言っていた。
「いつも ここにthousandをつけそうになってしまうんだ。75万ドルじゃなく、7百50ドルなんだよね」


彼じゃなくても誰が聞いても桁を間違えたのか、と思うような数字です。


BidenさんのTwitter accountには次のようなテキストが貼り付けてあったそうな。


"Teachers paid $7,239,  Firefighters paid $5,283,  Nurses paid $10,216
Donald Trump paid $750."


  教師は$7,239、消防士 $5,283, 看護師は $10,216 納税した。
  そしてドナルド・トランプ ーーー$750"

教師も消防士も看護師も誰もトランプさんよりはるかに多く納税しているのです。



さて、明日はいよいよ第一回目の両者のデベートです。


二人は Scranton vs. Park Ave. 対決とも言われています。


ワーキングクラスが多く住むペンシルバニア州スクラントンで育ったバイデン氏、
対してセレブ層が住むトランプさんのNYCのパークアベニューの対決ということ。




さてどうなりますことやら。。。


Everyone-old-is-new-again cabinet とRBG

発足した菅新内閣ですが、海外の報道は女性の数が少ないことを強調した記事が中心です。


9月16日付 Washington Post のヘッドライン。
    Japan’s new cabinet looks a lot like its old (male-dominated) cabinet
     日本の新内閣は(男性優位の)前内閣と代わり映えしない


記事では
    Same old, same old (men). And only two women.
    以前と同じ面々、年配の男性、女性は二人だけ
 とあります。


「相変わらずの」という意味もある same old と文字通り「以前と同じ高齢の男性」same old men の二つをかけて面白く伝えています。



同日の New York Times でも似たようなヘッドライン。
   Japan’s New Leader Picks His Team: Familiar Men, and Fewer Women
   日本の新首相が新しいチームを結成:同じ顔触れ、少ない女性閣僚


Mr. Suga, 71, put forward an everyone-old-is-new-again cabinet dominated by ministers who will continue in the jobs they held under Shinzo Abe......


  everyone-old-is-new-again cabinet
  前と同じ面々を新しくしてみただけ内閣


ハイフンにつなげた形容詞を作って、「なんちゃって新内閣」という言っているのでしょうね。



奇しくも昨日87歳だった米連邦最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が亡くなったという悲しいニュースが入ってきました。
女性だけでなく、性別を超えて男女平等の権利を主張して戦ってきた素敵な女性でした。あるインタビューの中で、彼女が男性に交じって唯一の女性最高裁判事であった時期のことを振り返って「最悪の日々」だっだと回想していたことを昨日の New York Times が伝えています。


“The image to the public entering the courtroom was eight men, of a certain size, and then this little woman sitting to the side. That was not a good image for the public to see.” 
「法廷の判事たちの姿ですが、、、、同じような背格好の8人の男性、そして脇にちょこんと小さな女性が一人だけポツンと座っている。。。これは大衆に見せるべき良いイメージではないでしょう。」


先週ひな壇に並んだ菅内閣の same old, same old (men), everyone-old-is-new-again cabinet の記念撮影も女性閣僚がたったの二人。


      That was not a good image for the public to see


のようにも見えました。



画像はお借りしています。

姓名のローマ字表記と ALL CAPS のお話

あまりわくわく感のない新内閣なので、9/15付 Japan Times からの別テーマの記事。
氏名のことなので全ての日本人に関わるだろう重要なお話。


数日前の河野大臣が以下の tweet をしたことに関しての記事です。


"The ECONOMIST magazine writes Japanese names correctly: 
Abe Shinzo Aso Taro Suga Yoshihide Kishida Fumio Ishiba Shigeru etc."
「雑誌エコノミストは正しく日本人の姓名表記をしていますー
    Abe Shinzo   Aso Taro   Suga Yoshihide   Kishida Fumio   Ishiba Shigeru etc."」



これは国語審議会が出した「国際化に伴う日本語の問題ー姓名のローマ字表記についての考え方」に基づいてtweetされたのですね。


つまり、国際審議会の提案は以下のとおり。


「国語審議会としては,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,そのような際に,一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として,一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。
 したがって,日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えばYamada Haruo)とすることが望ましい。なお,従来の慣習に基づく誤解を防くために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。
 今後,官公庁や報道機関等において,日本人の姓名をローマ字で表記する場合,並びに学校教育における英語等の指導においても,以上の趣旨が生かされることを希望する。」



これに関して、賛否両論はあるものの、国民の多くは支持しているとこのJapan Times の記事には書かれています。ただ一点、要注意部分があると指摘しているんです。これが面白い。


すなわち、このYAMADA Haruoという表記。
YAMADAと表記するのは英語では "ALL CAPS" (All Capitals の略)「全て大文字」スタイル。はるか19世紀くらいまで遡ってこれは “SHOUTING STYLE” と呼ばれて使用されてきているものです。アメリカ人であれば誰しも常識的にALLCAPSで読むと自ずと脳内の声が大声で「叫んでいる」ように聞こえてくるわけです。強調の意味はあっても、あまり上品ではない。大文字で全て表記するのは実際読みにくいし、全く奨励されていない書き方なのです。


ALL CAPSで有名なのは何と言ってもトランプさんの tweet です。
例えばオバマさんのことを “HE SPIED ON MY CAMPAIGN, AND GOT CAUGHT!”  みたいな感じ。読む人はああ、またトランプさん、吠えているわ、と思うわけです。



記事の最後をこう結んでいます。


"Either way, can we at least agree to DROP THE ALL CAPS? I know I don’t want to have a little voice in my head screaming “SUGA!” every time I look at the news."
「いずれにせよ、最低この氏名の全て大文字は辞めてもらえないだろうか。今後ニュースを読むたびに脳内の声が スガ!!!と叫ぶのを聞きたくないんですよね。」


日本人はね、SUGAと書いてあっても普通に叫び声は聞こえてきませんね。
日本語の表記でALL CAPSに相当するものは⤴のようにせいぜい漢字をカタカナするとか、太文字にするとか、ビックリマークをたくさんつけるくらいしかできません。それでも我々の脳内、あまり大きな叫び声は響いてきません。


文化が違うと様々なことが違います。



画像はお借りしています。

大坂なおみ選手とイントネーションのお話

大坂なおみ選手が2020年US Open で二度目の勝利を納めました。


一昨年の受賞スピーチでは
"This is probably gonna be, like, the worst acceptance speech of all time,"
「、、、というかあ、、、これって史上最悪の受賞スピーチになりそう。。。。」
と何となく自信なさげでした。


ところが今回の受賞インタビューでは、こんなやりとりがありました。


Interviewer: “You had seven matches, seven masks, seven names. What was the message you wanted to send?”


Naomi Osaka: "Well, what was the message you got .......is more the question. I feel like the point was to make people start talking.”


「七つのマスクに七個の名前がありました。何を伝えたかったのですか。」
「いえ、逆に皆さんこそそこからどんなメッセージを受け取ったのか、、、ということをむしろ伺いたいです。これをきっかけに皆さんが議論してくれること、それがポイントでした。」


質問を質問で返すほど余裕がありました。
そしてあまりにも堂々とした素晴らしい返答で皆を驚かせました。



なおみさんが答えたときに、you にアクセントを置いています。
質問者の"What was the message you wanted to send?"の you は当然なおみさんの you です。普通であれば、"I wanted to send ....."という返答が自然ですが、今回答えたなおみさん、youにアクセントを置いて聞き返す。抑揚を強めたことで意味としては「いえいえ私じゃなく、あなた方こそ(ここは質問者の男性を含む全ての人のyou) は逆にどんなメッセージをもらったと考えていますか?」という意味になるわけです。


英語は意味として文の中で最も大切な部分にアクセントを置き、その母音を伸ばします。



Nice to meet you. あなたにお会いできてうれしいです。
なあいす つぅ   みいいいっと ゆー


Nice to meet you. 私こそあなたにお会いできてうれしいです。
なあいす つぅ   みっと ゆううう


の場合と同じです。最初のアクセントは meet に。次は you に来ます。
最初に挨拶をした人はその人に「会えたこと」がうれしかったんです。返す人は「こちらこそあなたに」会えたことがうれしい、という流れになるわけです。


返すときにも最初と同じようにmeet にアクセントを置いてしまったら、「あなたにお会いできてうれしいです」「あなたにお会いできてうれしいです」ということで、二人が勝手にしゃべっている感じでコミュニーケーションが成立しませんね。


イントネーションってとても重要なんです。


画像はお借りしています。